2013年8月7日水曜日

Tomorrowland2013を体験しEDMに思ったこと

先日、ベルギーで3日間開催されているクラブミュージックフェス『Tomorrow Land 2013』に行ってきた。18万枚のチケットに250万人がアクセスして、発売開始と同時に売り切れたとか、、、実際オークションで18万円で購入した人もいたので、本当なのかもしれない。どんな感じのフェスかはこのyoutubeでどうぞ。




youtube見ればわかる通り装飾と演出が凄まじかった。花火、電飾、炎、水のオンパレード。ステージは15ステージあり、そのうちの8ステージくらいはメインに負けず装飾と演出が凄かった印象がある。あと空港やホテルも装飾でTomorrowland一色や、送迎のバスにて前日のイベント模様を新聞にして配布など、イベント外でもお祭りムードだったのが印象的だった。

またチケット18万枚中の10万枚は国外向けらしく、とにかくワールドカップかのように世界中の人がいて、国旗を掲げたり国柄の出る格好してる人だらけだったのも印象的だった。まあ、このへんは知ってる人からすれば当たり前でつまらない感想ですね。。。

個人的な感想としては、Matadorのライブがベストアクトくらい良かったとか、欧米人はマッチョと巨乳がめちゃ多いとか、長髪で髭の東洋人はひたすら「スティーブ青木!」って外人に絡まれるとか色々ありましたが、今回はEDMについて色々考えさせられたので、EDMに関して思ったこと。

メインステージのDJはTiesto、Sebastian Ingrosso、Dimitri Vegas、ARTY、Avicii、Armin van Buuren、David Guetta、Afrojack、Nicky Romero、Steve Angello、Steve Aoki等々と、今流行のEDMという括られ方をしてる人たち。

正直なところEDMというジャンル(自分はジャンルというよりシーンな印象)は、日本ではどちらかというと嘲笑の対象になりがちというか、僕も好きではないまとめ方な印象だった。上記したDJもそれぞれやってることは多少なり違うし、そもそもSkrillexとDeadmau5とDavid Guettaが同じEDMという名前に放り込まれてることにも違和感を感じてた。たぶん、そこへの違和感はジャンルとしての名前じゃなくて、クラブミュージックとか電子音楽みたいな大きなシーンのはずのものを、まるで一つの音楽ジャンルと錯覚するように乱雑にまとめていることが原因だと思う。要は今まで培われてきたシーンを再ネーミングして、売り直してるようにしか見えないからだ。

そんな感じの印象を持って参加した世界最大級のEDMフェスだったが、David GuettaのDJを見て色々考え直させられた。説明不要かもしれないが、一応David Guettaについて簡略に書くと、アルバムは720万枚も売れ、2011年のDJ Mag Top100DJsの1位に輝き、本フェスでは最終日のトリ前2時間以上プレイする上に、AfrojackとNicky RomeroをゲストB2Bで呼ぶ、というまさにEDMシーンの王様。そして今回のDavid GuettaのDJ冒頭映像がこれ。


David GuettaのDJは初体験だったが、とにかくビックリするほど下手だった。下手というかDJ MAGランク1位やEDM界のトップに君臨するDavid Guettaというネームバリューが無いと出来ないプレイをしていたという印象。1時間聴いての印象は半分以上がブレイク、残りの半分がMC(ハウってた)、残りがビートという感じで、驚くほどにひたすら踊る部分がない。間違いなくMINUSステージにいた時のほうが楽しく踊っていたと思う。

ただし、フロアはそのDJとは正反対に大盛り上がり。メインステージならFedde Le Grandとかのほうが確実に踊れるDJをしていたと思うが、明らかに他のどのDJよりも盛り上がっていた。他のDJのときにも思ったが、メインフロアのお客の反応はブレイク時はほぼ「歌う」「手拍子」「手をあげる」の3種類で、ビートがあるときは半分近くはジャンプ。たぶん、これらは知ってる曲がかかったときに起きた現象で、お客さんの大半も知ってる曲がかかるのを楽しみにしてる感が強かった。
ホテルで他の日本人客と話したときも「あのDJは○○の曲かけて、そのあと○○の曲かかったからめっちゃよかった!」という感じで、DJの流れとかより"どの曲をかけたか"をDJの良し悪しの基準にしていたので、余計にそう思ったのかもしれない。
知っている曲が流れると、みんな前に行こうとしたり歌うとか、アニソンイベントのそれに似ているかもとも思った。まあ最近のクラブイベントは中田ヤスタカを筆頭に、mogra周りのDJのお客さんなどを見ても、知っている曲で盛り上がるという傾向が強いので、それに限った話しではないが。あとサッカーは詳しくないが、ワールドカップで日本が勝ったら渋谷駅前で大勢と騒ぎたいってタイプの人が世界中から集まってた感もあった。

と、ここまでボロクソに書いているが、現地では僕もめっちゃ手を上げたし、隣の知らない外人と肩を組んでめっちゃ歌ったりしてました。。。たぶん、EDMにおいてはそれが正解なんだろうなって凄い思わされたから。実際、下手と感じていたDavid GuettaのDJ中のフロアに自分もアガっていたし、DJが良い悪いというよりも壮大な人数と演出の雰囲気の中、みんなで一体感を楽しむことが正解という考えに至ったのだと思う。そういった雰囲気に対して、みんなが知っていて一体感を生みやすくするという意味で、David Guettaは限りなく正解のDJをしていたんだと思う。

最初に述べた通り、EDMはこれまでのクラブミュージックを通ってる人から、批判の対象にされがちだ。けど、今回Tomorrowlandに行くことによって、自分は考えをかなり改めさせられた。そりゃそうだ、だってこれまでのクラブシーンとは似てるようで全くの別物だと感じたのだから、これまでのクラブミュージックで語ろうとするほうがおかしくなる。たぶん、大きい違いは一人で踊れるか踊れないかの違いだ。一番楽しかったMINUSステージは、仮にフロアに僕一人だったとしても絶対に楽しんでる自信があるが、David Guettaのフロアに僕一人だとしたら確実に興醒めだ。こういう盛り上がり方はエピックトランスシーンにも多少あったが、ここまで露骨ではなかった気もする。確実に大人数と環境と演出という3つが揃って生まれる多幸感だ。

そんなことを考えながらフロアをフラフラしてたときに、ふと思った疑問がある
「EDMが人数によって生まれる多幸感を演出するDJなら、まだ人気ではなく人数が集まらないEDM DJはどんなDJをするんだろうか?」
この疑問、ベルギーから帰国する際の飛行機の中でも色々考えてたけども、帰国してからメインステージアーティストのYoutubeを見て一瞬で謎が解けたし、それがEDMの答えなんだろうなって思えた。

David Guetta - Turn Me On ft. Nicki Minaj - 2億700万再生
David Guetta - Titanium ft. Sia - 2億200万再生
David Guetta - She Wolf (Falling To Pieces) ft. Sia - 1億7000万再生
David Guetta - Where Them Girls At ft. Nicki Minaj, Flo Rida - 1億6000万再生
David Guetta - Without You ft. Usher - 1億3000万再生
Armin van Buuren ft. Sharon den Adel - In and Out of Love - 1億3900万再生
Swedish House Mafia - Don't You Worry Child ft. John Martin - 1億1500万再生
Avicii - Levels - 6800万再生
Avicii vs Nicky Romero - I Could Be The One (Nicktim) - 5700万再生
Zedd - Clarity (Official Video) ft. Foxes - 2100万再生

こんな感じの再生数でして、要は現場じゃなくて楽曲の人気で人が入ってるんだろうなっていうのを思い切り痛感した。しかもTomorrowlandのタイムテーブルを見ると、御丁寧なことに見事にYoutube再生数が多い順に並べたかのようになっていた。DJとトラックメーカーの境界が曖昧になってるなんて議論は、ここでするまでもなく10年くらい前からずっと語られてることだが、その議論の先が顕著に出てるのがTomorrowlandでありEDMなんだろうと実感した。ここまできて自分の中の結論は、Tomorrowlandはインターネットの祭典だということ。あそこの舞台に立てるか立てないかはDJ云々ではなく、BeatportでProgressive House(このジャンルも10年で別物になった...)チャートを賑やかし、Youtubeでの再生数が桁違いに伸び、twitterやFacebookなどでフォロワーを伸ばすことが重要条件なんだということ。そう考えると、日本国内でなぜEDMが伸びないかも分かりやすい。この条件を満たす人がいないからだ。

Tomorrowland自体も、翌日にはイベントをYoutubeで全て配信公開したり、オフィシャルのafter movieや告知映像も多数アップし、8000万再生を超える動画もある。このあたりも日本のフェスではあまり見ない。知ってる限り日本のフェスはほとんどWOWOW放送だ。(誰が見るんだ?)
こういう状況下で日本国内でEDMを伸ばそうとしてもムリがある。逆に言えば、日本人でもTomorrowlandに出ることは不可能ではないという希望もある気がした。90年代のクラブシーンと違い、さっきの条件を満たすことは海外に行かなくても可能だ。(行くに越したことはないが)

EDMという売り方をこれまで好きになれなかったが、今回のTomorrowlandでとにかく考え直させられた。以前、☆TakuTakahashi氏がこんなツイートをしていた。
EDMを入り口にディープなものに触れさせたいという点は、僕は有耶無耶な気持ちもあったが、EDMという雑多で大きな括りが新しい波や、新しいシーンを生み出してるのだろうなというのは確かに凄く感じた。またメインステージ以外では、これまでのクラブシーンの人でも十二分に楽しめるラインナップが揃っていたところなど、☆TakuTakahashi氏が言っている入口という意味も機能していたのかなとも思う。

EDMのほうがとか、ディープなほうがとかの優越ではないが、エレクトロニック音楽の起爆剤としてEDMの功績は確かに大きい。それと同時に日本においては、この熱量をどれだけ正確に伝えられるかどうかが、今後の課題になってくる気がする。EDMという名前だけ拝借するダサい売り方だけでは、まるで意味がないし、逆効果になるのは目に見えてる。また「今までEDMというジャンルを牽引してきた」とかいう便乗する売り方も、ちゃんと見てる人からはアホ丸出しで、嫌悪されるのは当たり前だ。EDMの盛り上がりの本質を理解して、世界とリンクしたシーンの築き方を期待して、今回もとりとめのないブログは以上、Tomorrowland2013を体験しEDMに思ったこと。

6 件のコメント:

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  5. はじめまして。justkuro73です。tomorrowlandの貴重な情報up本当にありがとうございます!日本語でなかなか詳しく書いてくださる方はいないので本当に助かります。さっそく質問なのですが、tomorrowlandのチケットはだいたいいつ頃届きました?emailか郵送かも知りたいです。オフィシャルで買える気がしないのでViagogoなどをあてにしようと思っているのですがきっと高額支払ってすぐにチケットが届かないと不安になっちゃうなーっと思って。Viagogoで買っても行くまでにチケットが届くか不安です。あんまり英語ができないわりに調べたらViagogoで買ったけど直前なのにチケットがまだとどかなーいって書いてる人がいたので、購入後だいたいいつくらいに受け取られたのかなー?って。ちなみにチケットはオフィシャルから購入されましたか?後、チケットに名前は入ってましたか?質問責めでごめんなさい。お時間あるときにお返事お願いいたします。ありがとうございます:)

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  6. こんにちは。周りの日本人でTomorrowlandに行った人がいないのでコメントさせてもらいました。
    私は今年の10周年記念に行きたいと考えているのですが、実際飛行機代込みで全額どのくらいしましたか?あと、現地ではやはり皆さんキャンプするのですか?色々質問してごめんなさい、お返事お待ちしております :)

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